更新日:2023/09/13
幼児期の食事は、体と心の成長に大きく関わっています。バランスよく栄養を摂るだけでなく、食事の時間を楽しむことは、子どもも大人も大切なことです。「美味しいね 楽しいね」の会話で、家族やお友達とのコミュニケーションの場にもなります。
食事作りのポイント
食べやすい工夫を
幼児期は、歯や舌の動きが未発達で噛む力が弱かったり、一度に食べられる量が少なかったりするので、大人と同じ硬さや大きさでは食べにくい物もあります。歯の生え方や噛む力に合わせて軟らかく煮る、よく炒める、とろみをつける、好きな味付けにするなど、少し工夫するだけで食べやすくなります。スプーンなどで口に運びやすい大きさにカットしてお皿に盛り付けしてあげましょう。
栄養バランスを整えましょう
子どもの体には、ビタミンやミネラルなども重要なもの。主食や主菜だけでなく、副菜などを加えて栄養バランスを整えましょう。
草加市保健センター発行の「心と体をはぐくむ幼児と家族の食事」は、家族みんなの栄養バランスを考えたレシピ集です。パパ・ママ・幼児の家族3人分の一日(平日・お弁当の日・休日)の食事をわかりやすく紹介しています。
◆幼児の1食の目安 (参考:心と体をはぐくむ幼児と家族の食事)
薄味の習慣を身につけましょう
大人が好む味付けの濃い食事では、子どもにとっては塩分が多すぎになり、生活習慣病の原因となることもあります。味覚の発達を促す大切な時期です。素材そのものの味やだしの美味しさを味わいましょう。塩分の目安は1~2歳は1日3.0g未満、3~5歳は1日3.5g未満です。
参考:(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
脂質の多い食事に注意しましょう
脂質の多い食事は、子どもの内臓にとっては負担が大きくなってしまいます。食事とおやつを合わせると一日分の脂質を取りすぎてしまうこともあります。比較的油の使用量が少ない和食がおすすめ。脂質の吸収を抑制してくれる野菜や海藻、豆類などを食事に摂り入れて。おやつもスナック菓子より、おせんべい・果物・芋類などをおすすめします。
関連サイト
みんなの食育 「食とからだ」チェックシート・ジュニア世代編(農林水産省)
関連ページ
子育てコンパス>子育て家庭全般>子どもの健康>アレルギー
知りたい>子どもの健康>幼児のためのレシピ集
好き嫌いが多い子もいます
幼児期は「好き嫌い」や好きなものしか食べない「ばっかり食べ」も目立つようになります。そんな時期は無理強いしないで、様子をみてしばらくたってから調理方法を変えてみる、形を変えるなど、さりげなくお皿に添えてあげましょう。
嫌いな物も食卓から無くさず少しずつ挑戦させてあげましょう。パパ・ママがお手本になって、何でもおいしく食べるところを見せてあげるといいですね。
野菜が苦手な子には
繊維が固かったり、独特の香りやえぐみがあったり、幼児の7割が苦手と言われている野菜ですが、子どもの発育に欠かせないビタミン類や食物繊維などが豊富に含まれています。苦手な野菜をどんな方法なら食べやすいか、子どもと一緒に根気よく見つけていきませんか?
調理の時のちょっとした工夫で食べやすくなるかも…例えば
・細かく刻んだりすりおろして、カレー、ハンバーグ、お好み焼き 、ホットケーキなどに少量くわえる。
・小さめに切って具だくさんの汁物にくわえる。
・型抜きしたり、お皿を変えたり、見た目に変化をつける。
さらにこんな工夫も
外遊びや運動は、体力と食べる力を育ててくれます。運動した後は、お腹が空くので美味しさもアップします。
また、プランターや庭で野菜を育てたり、調理のお手伝いすることも野菜を身近に感じることに繋がります。
野菜料理は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防になります。ママ・パパ、家族みんなで食べる機会を増やしていきましょう。
おやつも大切な栄養源
食事を一度にたくさん食べられない子どもにとって、おやつは大切な栄養源になります。3回の食事では取りきれない栄養を補い、心と体の成長を促すものと捉えましょう。
おやつ=お菓子ではありません。お菓子は生活の中の楽しみのひとつですが、思った以上にカロリーの高いものが多いので気をつけましょう。
大好きなおやつの時間には、手洗い、いただきます・ごちそうさまのあいさつなど食事のマナーも身につきやすいですね。
楽しく食事するために
食事の前に手を洗う
最初に教えたいのは、食事の前には必ず手を洗うこと。
食中毒や感染症予防のためにも大切な生活習慣です。
食事のあいさつをする
食事の前には「いただきます」食事の後には「ごちそうさま」をきちんと声に出して言いましょう。「いただきます」は、動物や植物の命をいただくことや食事に携わってくれた人たちへの感謝を表し「ごちそうさま」は、食事を準備してくれた人への感謝を込めた言葉です。
まだ言葉が出ていない子も、大人がお見本を見せてあげると真似をします。できた時は褒めてあげましょう。毎日の積み重ねで言葉が出るころには自然とあいさつが言えるようになります。
食事中は座って
食べることに集中できるように、おもちゃなどは周りに置かないようにして、テレビも消しておきましょう。子どもが気になるものだけでなく、大人がつい気になってしまうスマホも見えないところへしまっておきましょう。
1~2歳の頃は食事中に歩き回ってしまうこともあると思いますが「座って食べようね」と根気よく繰り返して伝えることで、少しずつ座っていられる時間が長くなります。
それでも落ち着かない時は「もう、ごちそうさましましょうね」と声をかけ、一旦食事を下げてしまうのも、座って食事する大切さを教えるには伝わりやすい方法です。
3~4歳になったら、お茶碗の持ち方、音を立てずに食べる、正しい姿勢などのマナーも教えてあげたいですね。少しずつでも出来た時は褒めてあげると、子どものやる気と自信につながります。
お箸の練習
お箸の練習は、スプーン・フォークが上手に使えるようになり、お箸に興味を持ったりする頃からはじめるのがおすすめです。ゆでブロッコリー、生揚げ、根菜類の煮物、ホットケーキなど、お箸でつまんだりしやすい大きさで滑りにくいものがいいですね。
指先の発達もまだこれからなので、初めから上手にはできません。持ち方が少し違っていても食事中に注意するのは控えめにして、正しい持ち方のお手本を見せてあげることから始めましょう。
お箸を使ったゲームも楽しみながら練習ができます。お皿の小豆をお箸で隣のお皿に移す「小豆運び」という遊びがあります。小豆の代わりに「たまごボーロ」や「フェルトボール」などを使えば、始めたばかりの子もお箸に慣れる練習になります。
関連サイト
オススメの本
草加市中央図書館の蔵書にあります。
* はしのもちかた (知識絵本)
偕成社 (1983.9.14) 小永井道子著
* テーブルマナーの絵本
あすなろ書房(2011.11.17) 高野紀子著
食中毒の予防
食中毒は、有害な細菌やウイルス、化学物質によって汚染された食品を摂取することで発生します。毎日食べている家庭の食事にも危険性が潜んでいます。食事の前には、かならず手を洗いましょう。
食中毒予防の3原則
「つけない」
原因となる菌やウイルスを食品に「つけない」ために、調理や食事の前にはしっかり手を洗いましょう。水洗いの後、石鹸洗いとすすぎを2回繰り返す「2度洗い」が効果的です。
また、調理器具によって他の食品が汚染される「二次汚染」を防ぐために、専用の調理器具を使うか、食材ごとに洗浄・消毒をしましょう。
「ふやさない」
食品を保存する場合には、菌を「ふやさない」ように、小分けにして速やかに冷蔵庫で保管しましょう。食品を「10℃以下」に保つために、冷蔵庫内は詰めすぎないようにし、扉の開閉はなるべく少なく、短時間で行いましょう。
「やっつける」
食中毒菌等は熱に弱いため、多くは加熱することで「やっつける」ことができます。表面だけではなく、食品の中心部まで十分に加熱しましょう。
特に食肉はさまざまな食中毒菌で汚染されている可能性が高いため、「中心温度75℃、1分間以上加熱」を徹底しましょう。