トロンボーン デュオリサイタルへ行ってきました

トロンボーン デュオリサイタルへ行ってきました

公開日:2017/06/30

作成者:とま.*

2017年4月8日 草加市中央公民館ホールにて。

井上亮さん&北村竜さんのトロンボーンデュオリサイタルへ行ってきました。
今回、お二人を取り上げたのは、『同級生が、同じ楽器で、プロ・デュオ・デビュー‼』を果たすことを知ったためです。
草加市で生まれ育ち、同じ草加小・中学校の同級生であるお二人が共に切磋琢磨しながら練習に励み、それぞれの道で音楽大学へ進み、卒業され、それぞれが得てきた経験を重ねあい、今日のリサイタルを開くこととなりました。

今回、ご出演されている井上さん北村さんは、音楽を勉強している子供たちに、「プロとして音楽の道へ進む」という選択肢もあるというメッセージが込められ開催するということを知り、普段楽器の“生の音”に触れる機会が少ない娘にも聞かせてあげたいなぁ、刺激があれば。と、一緒に行きました。

娘は本格的には音楽(ピアノ)を勉強していないのですが、音楽が大好きで一人でにピアノに向かって楽譜を読んだり、テクニックを練習をしたり、私と連弾したり。好きな曲や町中で流れている曲などを口ずさんだり、音楽に合わせて跳ねたり体を揺らしたりしています。

 

IMG_3955トロンボーンロビートロンボーンチケット公民館へ到着すると入口には「井上亮&北村竜 トロンボーンデュオリサイタル」大きな看板が!4月なのにとても寒い日で、娘はダウンジャケットを着ています。

ホールは2階にあり、階段を登りロビーに到着すると、たくさんのお客様がいらっしゃいました。事前にチケットを持っていた人の長蛇の列を潜り抜け、受付でチケットを受け取りました。

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トロンボーンお花預かりトロンボーンチケット切り出演者のお二人へ演奏会のお祝いのプレゼントを預けに、特設された場所へ行きました。こちらで花束や贈り物に名前やメッセージを書いて預けておくと取りまとめて出演者へ渡してくれます。
いざ、会場へ!ということで、チケットをチケット係の方に渡し切ってもらいました。
みなさま、お気づきでしょうか。お花やプレゼントを預かる受付をしているスタッフ、チケットをもぎっているスタッフは、学生さん! 演奏会が終わったあと、ある学生さんとお話をさせていただいたのですが、北村さんのお母様が主催するスポーツクラブ(総合型地域スポーツクラブすぱえもん「草加ジュニア新体操クラブ」)のクラブ員さんたちがボランティアで協力していたそうです。
娘へ、また会えたら会おうね。と可愛い約束までしてくれて・・・ほっこりしました。みどりライントロンボーン満員トロンボーンプログラム会場は超満員にて、娘と隣で座れる場所を見つけるのも大変なほど!学生さんやマダム団体がちらほらおり、熱烈なファンが多いように感じました。

みどりライン

プログラム

第一部

パストラーレ/E.エワイゼン(井上さん・北村さん)

作曲家エワイゼンはアメリカの作曲家、ジュリアード音楽院出身で近代の音楽作曲家です。パストラーレとは、牧歌的なという意味で、羊飼いが居る光景や草原、山脈をイメージして吹かれていたそうです。
春を感じさせるピアノから始まり、中間部では二人の掛け合いやハーモニーがとても良く響いていました。

バッハ風に/J.M.デュファイ(井上さんソロ)

作曲家デュファイは、“〇〇風に”という歴代の作曲家を“真似して”作曲してみるという曲風に長けている作曲家であります。その他にも、〇〇風にという作品も多数あるそうです。
テンポに厳格なバッハの曲調を、トロンボーンで超絶技巧的なテクニックにて表現され、跳躍する難しいフレーズによる音も、よく的を射ていて素晴らしかったです。娘もバッハが好きでノリノリで聴いていました。

ワルツ作品34-1/F.F.ショパン(小松先生ソロ)

ピアノ曲ワルツは華麗なワルツという副題もある曲のひとつです。
迫力をもちつつ繊細に且つとても可憐な音の集合体となって表現されていました。

ニューオリンズ/E.ボサ(北村さんソロ)

作曲家ボサは、フランスの作曲家です。管楽器の作品が多く、バストロンボーンのコンクールでもよく使われる作曲家とのこと。北村さんが大学1年生の時の試験曲だったそうで、その頃から小松先生とタッグを組んで曲を練習してきたというエピソードもありました。

春の呼ぶ声を聞く/高嶋圭子
1,夜明け 2,風 3,桜〜三春滝桜に寄せて〜(井上さん・北村さん)
三春の滝桜

東日本大震災の直後に、二人のトロンボーンニストが企画し、高嶋さんが作曲しようと立ち上がりました。
大地震が発生し、車や家が流されていく中、生き続けた三春滝桜の生きる力、勇気や励ましを多彩に表現しています。
・・・1,夜明けは、震災が起こってしまったことを再認識させられてしまった人間の無力さを語っているようでした。c-moll(ハ短調)の出だしから無力感、喪失感がとても心痛く、それでも夜は明けるというような表現をされているようでした。
・・・2,風は、二台のトロンボーンとピアノで、風がうごめく様子を表しているように感じました。空っ風、湿った風、突風や穏やかな風、いろんな風を表現しているように感じました。
・・・3,桜で表現している桜は、日本三大巨桜に指定されている三春滝桜のこと。樹齢1000年、30メートルの枝と薄紅色の花びらで壮大な気分にさせてくれます。
どんなに大きな地震や津波が起こり街が津波に飲み込まれたとしても、春になればこの三春滝桜は優雅に咲き誇っているように、強く生きていこうという思いがとても感じられ感銘を受けた曲でした。

 

一部お二人 一部全員で

みどりライン第二部

デビルズワルツ/S.フェルヘルスト(井上さん・北村さん)

悪魔のワルツと訳されるこの曲は、なにが悪魔なのかというと…2本のトローンボーンでメロディーを分け合いながら、後半になるにつれて難しくなり、早くなっていきます。1つのメロディーを2人の音で分け合って繋げているということで、目をつぶって聞いていると1人で演奏しているように聞こえ、さすが圧巻の演奏でした!

楽器紹介

トロンボーンの特徴と、井上さんのテナーバストロンボーン、北村さんのバストロンボーンの違いを楽しく紹介していました。スライド部分を伸び縮みさせて音程を作っていること、管の太さ、ベルの大きさを比較してみることができました。

ディズニーメドレー/編曲者 山崎拓未(井上さん・北村さん)
真実の愛のキス(魔法にかけられて)〜ホールニューワールド(アラジン)〜アンダーザシー(アリエル)〜スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(メリーポピンズ)

娘が楽しみにしていたディズニーメドレー。思わず口ずさんでいました♪井上さんと同じ大学の山崎さんがアレンジした曲で、とてもリズミカルで音の重なりもとても熟慮された作品でした!

松田聖子メドレー/編曲者 山崎拓未(井上さん・北村さん)
渚のバルコニー〜あなたに逢いたくて〜青い珊瑚礁〜赤いスイートピー

井上さん一押しの松田聖子メドレー。こちらも山崎さんがアレンジした曲。親しみのあるメロディをトロンボーンで聴かせ、世代ではない私(?)も、とても楽しく聴くことが出来ました。

カーペンターズメドレー/編曲者 山崎拓未
遥かなる影〜シング〜イエスタデイ・ワン・スモア〜トップ・オブ・ザ・ワールド〜青春の輝き

青春を共にした彼らにふさわしく、とても息のあった仕上がりで、今までお世話になった恩師、友達、家族への気持ちが表れ、感謝の音として聴こえてきました。

アンコールは、情熱大陸、草加市歌で締めくくりました。「よいこのみなさん、もう、おうちに帰る時間ですよ」と井上さんのMCは大爆笑。

二部お二人二部アンコールl

 

 

恩師、家族、友人、たくさんのファン、後輩、音楽をする環境に、大変恵まれた彼らの演奏を聴き、とても感動しました。
情熱大陸感謝の気持ちはなかなか言葉では伝えるのは恥ずかしくて、難しいことだと思います。しかし、音楽を通して言葉では伝えきれない気持ち、歴史、未来、感謝を観客一人ひとりへと届けることが出来た演奏会になったのではと思います。
音楽は“時間の芸術”とも言われ、同じ場所で同じ時間にしか感じられない感動となります。良い意味でも悪い意味でも、自身が経験したことや感じたことなどが演奏ににじみ出て現れます。練習や研究を重ね、場数を踏み成功したこと失敗したこと、そんな積み重ねを人と共有することは、とても幸せな時間なんだなと思いました。
演奏家誰一人、同じ人生を歩んでいないですし、それぞれの音楽性は全く違うものです。演奏会へ是非お出かけになり、演奏者の音楽に浸って感動する時間を作ってみてくださいね。人生により幅が生まれ、温かい気持ちになることと思います♪

【演奏者プロフィール】

井上さん井上亮

埼玉県草加市出身。
伊奈学園総合高校、東京音楽大学を卒業。
東京音楽大学入学時に給費入学奨学金を取得。
第7回横浜国際音楽コンクール室内楽部門第2位。
2015年セイジ・オザワ松本フェスティバル「子供のための音楽会」、2016年小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅣ(こうもり)に出演。
東京芸術劇場主催芸劇ウインドオーケストラに所属。


北村竜北村さん

埼玉県草加市出身。私立春日部共栄高等学校、洗足学園音楽大学を卒業。洗足学園音楽大学在学時に特別選抜生に認定。
2012年サントリーホール主催レインボウ21デビューコンサートに出演。
2015年小澤征爾音楽塾金管室内楽勉強会に参加。
2016年小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅣ(こうもり)に出演。
現在は関東を中心に演奏活動、演奏指導を行いながらフリーランスとして活動中。

取材日:2017年4月8日
取材・作成者:とま.*