公開日:2018/05/01
作成者:白
リレーコラム「働く」。第2弾は私、白が書かせていただきます。
私は10年ほど前に長女の出産を機に会社を辞め、それから数年モヤモヤした末に在宅ワークに出合いました。今はほぼ毎日パソコン前に正座して過ごしています。もし、以前の私と同じモヤモヤを感じているかたがいらしたら、「こんな形でも働けるんだ」ということを知っていただけるかな…と思い、白の日常をご紹介します。
会社員時代を経て今に至るまで
在宅ワークは、特殊技能や資格があればもちろん強味となりますが、私のように特にこれというものがなくてもできることが結構あります。会社員時代とはほとんどつながりがない仕事を今やっているという意味で「これというものがない」のですが、ここでざっと社会に出てからの足取りをご紹介しますね。
大学卒業後、専門商社(8年)と玩具メーカー(6年)の2社にわたって計14年勤務。専門商社では貿易事務と営業事務、玩具メーカーでは受発注業務、貿易事務、在庫管理などをやっていました。ワード、エクセルは使っていましたが、ワードはごく一般的な書類作り、エクセルも簡単な表計算を組む程度。なお、この間に一度、会社とは無関係ながら興味のあった校正実務講座を受講しました。その後長女の出産に伴い産休、育休、そして退職。
モヤモヤした1年半
産休・育休中、復帰の可能性を模索していたのですが、長時間労働が常態化した職場から保育園に毎日迎えに行くことは難しいように思えました。また夫や実母が復帰に否定的=「何かあっても頼れない」と思い込むようになり、どう考えても無理だなあ……、と育休明けを機に退職しました。
しかし、赤ちゃんとの生活は楽しく充実しているはずなのに、正式に退職したころから次第にモヤモヤしてきました。「“○○ちゃんのママ”でしかない、何もしていない自分」にストレスを感じるようになったのです。それまで自分で稼いでいたのに、人の(夫の)稼いだお金を自分のために使うことにも抵抗がありました。―お金を稼ぎたい。自分にまだできることを見つけたい。
そして一歩踏み出す!
そんな中、ネットでいろいろ見ていくうち、登録制のクラウドソーシング会社に行きついたのでした。私は相談しないタイプなので、しばらく一人で悶々と考えてから「えいっ」と登録しました。
それから、あるフリーペーパーで「在宅校正作業者募集」との告知を見つけて一人ひそかに興奮し、「以前校正講座を受けているから応募資格があるはず!」と、勇気を出して応募したのでした。出産から1年半前後のことです。
それぞれ小さな一歩でしたが、あの時踏み出しておいてよかった…!と今はつくづく思います。
初めは単発。徐々に継続案件も
かくして私の在宅ワークが始まりました。初めは単発の校正業務やモニターなど、ごくたまにといった感じでしたが、今は定期的にもらえる仕事も出てきました。主なものをご紹介すると……
○校正:フリーペーパーの一部についてのチェック業務を毎週決まった日に受注。電子データで届く原稿と校正刷りを照合して、赤字で書き込みをして返送します。こういう作業は大好きです♪
誤りを見つけた時はちょっとうれしかったりするのですが、あくまで小姑ではなく「守護神」のつもりです!
○クラウドソーシング会社から:
・入力業務:小中学生のテスト採点入力や、学年・組等のデータ入力など。パソコンでひたすら打ち込みます。学期始めなどは件数がどっさり!時々睡魔との戦いになります……
文芸同人誌の手書き原稿をWordファイルに打ち直す作業もあります。楽しい!
・ライティング:グルメサイトの制作業務を主に担当しています。取材内容に沿ってお店やメニューの紹介文を考えるのですが、ない知恵を絞って書くので毎回大変(-_-;) 制作後もチェック担当者からのフィードバックをもとに修正が必要なことも多く、日々勉強です。魅力あるページ作りって難しい!
また以前、気になる記事をピックアップしてコラムを書くというプロジェクトにも参加していました。金額はともかく、思いをつづって報酬がもらえるなんて夢のようですよね。交代制なので出番は月一回でしたが、なぜか母が楽しみにしていて、載ると必ず感想がメールされてきました(・_・;)
○サポートについて:
業務にあたっては、登録先からきっちり説明を受けます。だいたい次のようなパターンが多いです。
・書面やweb上の掲示板に業務内容が書いてあって共有するスタイル。
・登録先のマネージャーが、スカイプなどを使い、一対一やグループチャットで講習をおこなってくれるスタイル。
・クライアントのシステムに入って制作する業務などで、クライアントによる講習を受けに行くスタイル。(都内に受講しに行ったこともありました。)
業務開始後の疑問には、掲示板に質問すれば答えてもらえるので安心ですし、同じ作業を担当するワーカー同士でも共有できます。たまにマネージャーさんから電話がかかってくることもありますが、こういう時はだいたい急ぎの仕事の打診です。(;’∀’)
!!ご注意!!
中にはクラウドソーシング会社を装い、在宅ワークを紹介すると持ち掛けて「登録料」「教材代」などの名目でお金をだまし取る「在宅ワーク詐欺」業者もいるので、登録先はよく見極めることが重要です。
在宅ワークをやっていて、困ること・残念なこと
・思ったほど稼げない!:特殊技能もない私がもらえるのは、言ってしまえば誰でもできる仕事が多いので、報酬もそれなり。しかも、テキパキタイプでないので「こんなに時間をかけて数百円…?」ということがほとんどです。まず「時給」で考えてしまうと絶対にやってられません。一度夫に報酬を話したところ「え、それしかもらえないの…?」という反応でカチン!…医療系やグラフィック系の仕事などの経験があればよかったなあ。
・作業環境の悪さ:平日幼稚園に下の子を送って、洗濯物干しなどの家事を済ませてからお迎えまでがゴールデンタイム。だいたい10時始業~14時20分の間しかありません。この時間以外は習い事の送迎の合間にちょこちょこやるか、夜なべか早朝です。そして、子どもたちがいるとうるさい…。夜は夫のテレビがうるさーい!
・いるけど構ってくれないママになっている?:子どもにとってはママがいつもいるので安心でしょと思う反面、いつもパソコンに向かっているママってどうなんだ?との思いもよぎります。お金を稼ぐ=苦労を伴うんだぞ、ということを背中で示しているつもりですが、「背中しか」見せていないかも!
・予定が読めない:突然メールで仕事が舞い込んで、しかも短納期(中一日とか、翌日中とか)だったりします。よほどの時は断ることもできますが(代わりがきく仕事なので)、次につなげたいので、できるだけ受けたいと。結果、夜中に必死で作業しながら後悔することもあったりなかったり。今のところ徹夜はありませんが、睡眠1時間ということもありました。この時は翌日子どもの個人面談があり、先生に何かおかしなことを言わなかったか心配です…。
・基本は体が空いているのでPTAや園行事を断れない:立て込むこともありますが、その時になってみないとわからないのでたいてい出席しています。こうした時は、お休みを取って来ているフルタイム勤務のかたの方が「オフ」を楽しんでいるように見える一方で、余裕のない私。「早く帰りたい!」という心の叫びが顔に出ているかもしれませんね~。
やっぱりやっていて良かったこと!
・職場に拘束されないこと:上記と相反するようですが、PTAや園行事を断らなくてすむし、災害時や子どもの体調不良時にいつでも駆け付けられるという安心感も大きいです。突然の学級閉鎖の時は「よかった、在宅で…!」と心底思います。日常的には、急な雨でもすぐに洗濯物をしまえること。
・少ないけれど、自分で稼いだお金を使えること:友人や家族、実家へのプレゼントなどは、こうした稼ぎから出しています。娘たちがピアノの発表会で着るドレス、バレエのレオタードなども。月謝まではまかなえませんが、思い入れのあるものを自分で出せるって素敵です。「パパに相談してからね」と言わなくてすむのもちょっと鼻が高いかも。よし、ママに任せろ!
・もう一度社会に参加している実感:「○○ちゃんのママ」じゃなく、「白」宛に仕事の依頼が来る!仕事をもらえる喜びを、会社を辞めて初めて知りました。失ってわかるありがたみってやつですね。
・孤独に見えて、実は一人じゃない:自宅で一人パソコンに向かっていますが、担当者やチームのメンバーとメールや掲示板でやりとりをするので、意外と交流があります。お互いフォローしたり、感謝を伝えたりしますし、たまにお褒めの言葉を頂いたりすると、うれしくて子どもに自慢しちゃいます^^ 評価されることって、やっぱりうれしいものですね。
・確定申告が楽しみ!:年一度のごほうびです。ちょっとしたお小遣いが戻ってくることももちろんですが、「昨年度はこんなにがんばったのね~」という充実感はなかなかのもので、いそいそと申告書類を作っちゃいます♪
今できることをやれる幸せ
正直なところ、収入を最優先するのであれば、在宅より外に働きに出た方がよほど稼げます。コンビニでもスーパーでも、探せば求人があるのもわかっています。でも、今の自分に一番合っているのはやっぱり、自宅でできて、家族の用事もちゃんとこなせる働き方なのだと思っています。
良くも悪くも“都合の良い働き方“ですが、あくまで私の場合でいえば、こうした働き方が可能になったおかげで「子育てのせいで諦めた」とならずに、今できることをやれています。IT化、ありがとう!
以前、あるサイトに「素敵な自分に縛られるのはやめよう」といったコラムが載っていました。「会社を辞め、子育てに没頭して過ごした何年かの後で、社会に戻りたいと思っても仕事なんかない…と悲観する前に、できることは本当にないのですか?かつてオフィスでフルタイム勤務していた(たくさん稼いでいた)“素敵な自分”が足かせになっているのではないですか?今の自分ができることから探してみれば、きっと何かが見つかりますよ」というような趣旨でしたが、本当にそうだなと思います。
いつか時期がきたらまた外勤で働きたい気持ちもありますが、今じゃない。だから、今できることを大切に。優雅にランチを楽しむ機会は減っても、充実していて楽しいです!
リレーコラムに関する感想、ご意見などお待ちしております。
作成者:白