公開日:2016/05/10
作成者:ゆーみん
震災の報道があるたびに、改めて災害の恐ろしさ、日々の備えの大切さを実感します。あなたの家の防災対策は十分でしょうか?今後大地震は起こるだろうとわかっていても、「我が家の防災対策は十分です!」と言える人はどれだけいるでしょうか。何か対策をしなければいけないと思いつつ、何をどう対策していいのかわからずに対策できないでいる家庭も多いのではないでしょうか。
以前、まちづくり講座「子育てママとパパの防災講座~守りたいものを守るちから~」(平成27年7月2日実施)で教えていただいた、”災害が起きた時に、大切な人・モノを守る術”は何か、を知っていただき、ご家庭の防災対策に生かしていただければと思います。
なぜ災害への備えが必要なのか
首都直下地震の発生確率は今後30年以内で70%、また、100年~150年間隔で起こるとされている南海トラフ地震の発生周期にも入ろうとしています。首都直下地震が発生した場合、草加市では最大震度6強が予想されています。この規模は、はわないと移動できず、固定していない家具が倒れたり、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することが想定される程の揺れです。
もし、何も対策をせずに南海トラフ地震が起こったら、死者最悪32万人とも言われています。しかし、減災対策がなされていれば、その数は6万人まで減ると予想されているのです。減災対策は国や自治体が行うものもあれば、もちろん個人で出来ることもあります。災害対策をするだけで、これほど被害を少なくできるのです。減災対策がどれほど大切なことかがわかっていただけると思います。
では、まず地震が発生した時からどのように過ごせばいいかを「地震の時間割」で見てみたいと思います。
場面1 命を守る時間(地震の揺れがおさまるまで)
場面2 家族を守る時間(揺れがおさまって1分間)
場面3 まちを守る時間(1分から15分)
場面4 被害の拡大に備える時間(15分から12時間)
場面5 生活を守る時間 (12時間から3日目)
場面6 生活を建て直す時間(3日目以降)
場面1~6に対して、今現在の対策はどの時点で有効なものでしょうか?
よく防災対策で3日分の水や非常食を備えましょうと言われますが、それは場面5の地震発生後12時間から3日目に必要となってくるものです。
では、場面1の地震が起こった時・揺れている時、自身の命を守る対策はどのようなものがあるのでしょうか。
今すぐやって欲しい家具の固定
1995年の阪神淡路大震災では、発生した日中に99.6%の人が命を落としています。その内の96.3%の人が発生から15分以内に亡くなっています。その死亡場所は、病院でも外でもなく、自宅が86.6%に及ぶのです。そしてその死因は、窒息死が半数以上、続いて圧死、焼死・火傷死、打撲・挫滅傷となっています。つまり、地震の揺れによって倒れてきた家具の下敷きになったり、閉じ込められてしまい火災が発生しても逃げ道が無く、亡くなった方が多いのです。
緊急地震速報が発令されてから実際に揺れが起こるまでの間にとれるのはワンアクションと言われていますが、何も行動に移せないまま揺れが起こるかもしれません。寝ている周りに家具があったら、地震が起こると、逃げる間も無くタンスや棚の下敷きになってしまいます。台所にいる時に地震が起きると、飛び出た引き出しや倒れてきた冷蔵庫・棚が邪魔になって逃げ道が塞がれてしまいます。
もし、家具が倒れないようにしっかり固定されていたら、家具の下敷きになったり、逃げ道を塞がれて閉じ込められてしまう可能性が低くなります。まずは、家の中を見渡して地震が起こった時に「どこに危険があるのか?」を発見し、その危険を無くす対策をしっかりと行うことが大切です。
守りたいものを守るにはまず”自分を守る”こと
地震は「いつ・どこで」起こるかわかりません。家にいる時に地震が起こっても、地震の揺れに対する対策がしっかり出来ていれば、ケガをしたり閉じ込められる可能性は低くなります。ケガをしなければ、揺れが収まった後、家族を助けに行けます。子どもであったり、家族であったり、大切な誰かを守るためには、まず自分が絶対にケガをしないことが重要です。ケガをしてしまったら、守りたいものは守れません。阪神淡路大震災は20秒、関東大震災は2分、東日本大震災は3分と揺れている時間はそれぞれです。その間にいかにケガをせずにいられるか、それが一番重要です。
地域の人との交流を
地震発生後ライフラインはストップします。ある程度の非常用食料を準備していても、ライフラインが復旧するまで補える程の量を用意するのは簡単ではありません。災害後の混乱の中では、救援物資がなかなか届かないこともあります。その時に有効になってくるのが、地域や自治会単位で発信していくことです。支援してくれる側に、「助けて欲しい」と地域や自治会単位で発信する、”受援力”を高めていくことが大切です。東日本大震災の時は自宅にいる方には救援物資がなかなか届かなかったということがありました。ある程度大きな単位でなければ、支援する側に声を届けるのは難しいかもしれません。地域や近所の人たちと交流を深め、事前に「どう行動し助け合うか」ということを話し合っておくことが、災害時に役に立ちます。
また、自分が住んでいる町や地域をよく知ることも減災対策に有効だと言います。その土地の歴史や地形、地名の由来、過去の災害などから昔はどんな場所だったのかを知ることによって、災害が起こった時に何が起こるかを予想できるかもしれません。そして行政は災害時どのような動きをするのだろうか、避難場所はどこなのだろうかと知っていることによって、混乱せずに行動することができます。
個々の対策も大変有効ですが、災害時には地域の方たちみんなで力を合わせて乗り越えていくことも必要です。
自分の生活に必要なものって何?がキーワード
場面5の生活を守る時間に対応する非常持ち出し袋や備蓄品は何を準備したらいいのか。水や食料はもちろん、普段生活する中で必要なものは人それぞれに違うはずです。例えば常備薬やコンタクトレンズのケア用品、小さい子どもがいる家庭では、おもちゃやおむつなど。なかなか気づかないけど、実は生活に必要不可欠なものもあるかもしれません。「自分の生活にとって必要なものって何?」をキーワードに準備をしてみてください!!
子どもたちに伝えていこう
子育てママ・パパは、災害に対する知識を子どもたちに教えていくことも、子どもたちを災害から守ることに繋がります。阪神淡路大震災での年齢別死亡者数において、20歳~24歳の死亡者数が多くなっていました。どうしてでしょうか?実はこの世代は一人暮らしで近所や地域との交流が少なく、被害にあっても、すぐには気づかれず助け出されるのが遅れた為、命を落とした方が多かったそうです。
今の子どもたちがその世代になる頃に大地震が起こるかもしれません。親として子どもたちに、家の中の安全対策や地域の人たちとの交流が、災害が起こった時に自分の身を守る重要な術となることを伝えていくことが、子どもを守る親としてとても重要ではないでしょうか。
このまちづくり講座では今現在行っている対策と今後行うべき対策を、それぞれ始めと終わりにグループで意見を出し合いました。先生の話を聞く前は、場面5の生活を守る時間の対策の非常持ち出し袋の準備や備蓄品を準備しているというグループが多かったですが、話を聞いた後は、場面1の地震発生時の対策をみんながたくさん挙げていました。
講座を聞くまでは、地震が発生している時よりも、地震発生後の生活を維持していくことの方が不安に感じていた人が多かったようです。しかし、地震が起こっている時にいかに自分の命を守るかケガをしないかが、大切な人を守る為に必要不可欠なことであり、災害後の生活を守る為にも大切なことだということを知りました。
地震発生時から発生後生活を建て直すまでの対策をまんべんなく行っておくことが、災害に強い街・人を作ることに繋がります。災害はいつ起こるかわかりません。ぜひ、今からそれぞれの家庭に合った対策を行い、災害に強い家庭・地域を作ってください。
草加市ハザードマップ
http://www.city.soka.saitama.jp/li/010/040/040/index.html
ぼっくるん 子育て家庭の防災
/general/651-2/
作成者 ゆーみん