公開日:2015/08/24
作成者:*あき*
鮮やかな色柄に華やかな刺繍、キラキラとしたラメ素材やテーマに沿った型押しのデザイン、メーカーとのコラボ商品等々…ランドセル売場には、数十年前は赤と黒が主流だったことが信じられないぐらいに多くの種類が並んでいます。
私の周りでは、すでに購入(予約)した方、夏休み中に購入予定の方、カタログを見比べて品定め中の方、祖父母にお任せ予定でまだ何も決めていない方…など、各家庭の都合によって購入状況はさまざまですが、テレビや雑誌でも特集が増えてきて、とにかくどうやら今がまさにランドセル商戦のピークの模様。
小学校入学を控えたお子さんがいらっしゃるほとんどのご家庭では、ランドセル購入に向けた家族会議が開かれるのではないでしょうか?
ということで、今回は草加市のランドセル事情や、ランドセルの選び方のポイントなどを調べてみました!
我が子にオリジナルのランドセルを!~”エコランド”のはじまり~
草加市の地場産業のひとつとして有名な皮革製品ですが、ランドセルと言えば大量生産が必要なシーズン商品。 市内では職人さんが小さな工房でひとつひとつ手作りしている店舗が多く、今では草加市内でランドセルの販売を行っているのは稲荷にある”手づくりランドセル”さんと清門にある”エコランド”さんの2軒だけだそう。
今回は日本で初めてエコマーク認定を受けたランドセルが話題となった”エコランド”にお伺いして、現代のランドセル事情や、”エコランド”独自の取り組みなどをお聞きしました。
お話をお伺いしたのは、”エコランド”の代表であり産みの親である茂垣行信さん。
草加元気放送局のМCとしてもご活躍で(ぼっくるん隊もお世話になってます!)、そうか革職人会所属の株式会社メシエの社長の息子さんでもあります。
ランドセルや鞄がところ狭しと並ぶ店内には、革製の洗えるジーンズや茂垣さんが開発したSneaG(スニッグ:スニーカーの形のバッグ、参考商品)など、メシエさんオリジナルの斬新な商品が目に入ります。
お父様は主に鞄製品を作ってきた革職人さんだそうですが、同時に、モノづくり大学の講師をされたり動物クラフトの開発に携わったり、最近ではふるさと納税に鞄を提供したりと、草加の革製品を身近な存在として根付かせているための普及活動にも熱心な方だとか。
もともとは食品関係の会社で営業のお仕事をされていた茂垣さんでしたが、そんなお父様を横目で見ながら、娘さんの入学を控えた頃「ランドセルも革製品の一つだし、他にはないものを贈ってあげたい」…そう思った時、振り返れば自分はいつでも革製品を作れる環境にあるんだ…と気付いたのが”エコランド”設立のきっかけだったといいます。
”エコランド”のホームページの題字は、当時幼稚園児だった二人の娘さんが書いたものだそう。ランドセルを通した親と子のつながりが強く感じられて素敵ですね♪
安心・安全な”エコランド”のランドセル♪
”エコランド”設立当時のランドセル事情はといえば、クラリーノをはじめとする人工皮革製品が増えはじめ、大型化・軽量化が進んでいた頃でした。
そんな中で茂垣さんは発想を転換し、環境にやさしい、安心・安全なランドセルを作ろうと思い立ちます。
親族が手掛けたエコレザーの開発にヒントを得て、幼いころから身近にあった皮革が『本来は捨てられるはずの動物の皮(副産物)を利用して作られた究極のエコ商品である』と思い至り、それをアピールポイントとしてエコマークの取得を目指しました。
そうして、コードバン・牛革・牛革パールラメのランドセルにエコマークが認定されたのは2007年。スーパーや量販店などでの販売も今ほど大規模ではなく、「エコブーム」も訪れる前のこと…エコを謳ったランドセルは他にはありませんでした。
「地球にやさしい」と銘打った”エコランド”のランドセルは、(一部の人工皮革製品を除き)人への安全性に優れ健康を損なう恐れのある濃度の有害物質が含まれず、焼却後の有害物質も抑制した人と地球にやさしい皮革エコサム™(ECOSOME™)レザーを使用しています。
耐久性・防傷性・防水性に優れた皮革でもあり、長期使用設計・既定の品質基準や環境に配慮したエコサム™(ECOSOME™)レザーを使用していることをはじめ、環境に配慮した副材料を使用している点などからも、環境配慮型ランドセルといえます。
今では多くの家庭でこの”エコランド”のランドセルの購入が検討されるようになりましたが、ここまで短期間で市民に広く認知されてきた理由の一つは、市内の園児を対象とした割引価格での販売やダイレクトセールでの手渡しなど、地域に根付いた販売方法を取っている効果が大きいと言います。
パンフレットは市内の全て保育園(民間保育園を除く)と一部の幼稚園で配布されているほか、7月上旬頃から草加駅隣の観光センターや草加市文化会館のぱりっせにも置かれていますので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
もちろん市外の方へも販売しています。パンフレットの郵送もできますので、詳細はぜひ”エコランド”さんに直接お問い合わせください。
使用後のランドセルを実用的な小物に!?
実は、”エコランド”でランドセルを購入された方には、6年間使用したあとにランドセル1つにつき1個の革小物を無料で作ってくださるという特典が付いています。
また、1つのランドセルに対して2個目以上の小物を作る場合や、他社のランドセルをリサイクルしたい場合でも有料で(加工賃・リサイクル料等としておよそ2~3,000円程度で)承れるそうです。
たとえば…
・プレゼントしてくれたおじいちゃんおばあちゃんへのお礼に眼鏡ケースをペアで作ってもらう(1個分の料金で同じものを2個作ってもらう)
・愛着のあるランドセルを、その後の生活の中でも使えるようペンケースやPASMOケースにしてもらう(1個分の料金で2種類の小物にしてもらう)
など、複数個の小物を作るのがおススメだとか。
革小物を作る際はランドセルの表面(カブセと呼ばれる部分)を使うのですが、1つのランドセルから革小物2~3個作れる(取り都合や作る小物によって変わる)そうで、このパターンのご利用が多いとのこと。
エコの視点を大切にする”エコランド”のリサイクル…環境にはもちろん、利用する側にとってもメリットは大きいですよね。
小学校生活6年間をともに頑張ってくれたランドセル、ぜひ捨てずに再利用してあげてくださいね。
余談ですが、中学生になった茂垣さんの二人の娘さんのランドセルは、親心を知ってか知らずか、今でも小物にせずにそのまま残しているそうですよ^^
※なお、エコの観点からも製品を作る側の希望としても実用的な革小物を作るのことをモットーとしており、ミニランドセルは作成していません。
草加の皮革産業の発展と”エコランド”
茂垣さんがランドセル屋・革屋として生計を立てる覚悟を決めて、以前の仕事を辞めたのがおよそ10年前。
現在までに、”エコランド”のランドセルを広める活動はもちろん、SneaGのような今までになかった革製品を作って販売したり、”やぶれない(縁が切れない、勝負に負けない)”ことを売りとした革製のお守りを作ったり、自身のライフワークとなっているよさこいを通じて知り合ったチームからの依頼で千社札や鳴子形の首飾り・鳴子入れなどを作成したり、市内の業者と小物作りや印刷等の技術協力をし合ったりと、多様な商品展開をしてきました。
ランドセルと同じ素材で作られたランドセルまもり(写真左のピンクのお守り)は草加神社限定のものだそう。入学祝いにもピッタリですね♪
これからも、高級なイメージのある皮革製品をできるだけ気軽に手に取れることを意識しながら、多くの方に草加の皮革を知ってもらえるよう普及活動に力を入れていきたいとおっしゃっていました。
必読!プロ目線のランドセル選びのポイントとは?
基本的には、現在はどこで買っても6年の保証が付き、ベルトは大人でも背負える長さまで可動し、A4サイズのクリアファイルが入るサイズに徹底されているなど、日本国内で販売されているランドセルは業界の統一ルールを守って生産されていて、基本的な性能に大きな違いはないそう。
価格差のほとんどが、刺繍や装飾の有無、使う金具や部品の形や数、付属品サービスや補償内容の違い、パターンオーダーメイドへの対応、オリジナル品の限定数販売などによるもので、安いものが粗悪品だとか高いものが安心できる…ということではなく、基本的には見た目の好みで選ぶのが正解だとか。
現在のランドセル市場はおよそ本革製品3割、人工皮革製品7割程度だと言います。
本革:キズが馴染んで目立ちにくくなり、時間が経つほど使用感が味になる
人工皮革:軽量で加工がしやすいが、その性質上ついたキズがそのまま残る
…というのが、本革と人工皮革のおおまかな違いだそう。
また、重いイメージがある本革製品ですが、部品の軽量化や設計面の改良などにより以前よりだいぶ軽量化されていて、実際は人工皮革製品と比較しても数百グラム(およそ教科書一冊分)ほどしか変わらず、価格も人工皮革製品より価格設定が手ごろな場合も多いそう。
これらを踏まえ、ご家族の中で意見がぶつかる場面では、(価格や素材など、親御さんが譲れない部分を確認した上で)デザインや色などは子どもの意見を重視し、わんぱくな男の子には本革製、オシャレな女の子には好みに合った人工皮革製のものをお勧めすることが多いとおっしゃっていました。
ここ数年はランドセルの受注時期が早まっていて、限定生産のものや人気のデザインのものは夏休み前に売切れることも多いというか…お子さんが年長さんになったら早々に品定めを開始した方が良さそうです。
ちなみに、これだけ多様化が進んだランドセル市場ですが、”エコランド”での一番人気の色は毎年同じ黒系と赤系のものだそうですよ^^
6年間毎日使うもの…と考えると、親としても子どもが一番気に入ったものを使わせてあげたいですね!
安心・便利な地元店舗での購入がイイ!
今は大型スーパーや量販店などで全国どこでも多くの種類のランドセルを手にできます。
でも、たとえば部品故障やパーツ不具合などで修理が発生した場合、地元店舗が購入店なら即日持ち込んで修理依頼ができます。(”エコランド”では修理中の代替品の貸し出しもしていますが、他社製品については使用する部品や製法が違うため修理ができません。メーカーにより補償内容が違いますので、ご購入の際に必ずご確認ください。)
そして、6年間使った後のランドセルの処分を検討した時、愛着ある使用済みランドセルで革小物を作ってもらえるというのも魅力的だと感じました。
”エコランド”のランドセルの注文お申込み締め切りは9月30日となっていますので、まだ決めかねている方はお早めにご検討・ご決断くださいね。
我が子はいま年中児なので来年度にランドセルを購入する予定で、今回の取材や周りのママたちの口コミはとても参考になりました。
レザーフェスタやダイレクトセールの開催、お祭りやぱりっせなどでの動物クラフト作り体験をはじめ、市内で触れる機会が多い草加の皮革産業ですが、個人的には初めて知る部分も多く、今後あらためて掘り下げていきたいと思いました。
取材にご協力いただいた茂垣さん、友人のみなさん、ありがとうございました!
取材日:2015/7/7(火)
取材者・作成者:*あき*