公開日:2014/12/15
作成者:はな
収穫されたばかりの野菜がその日のうちに農家の庭先に並ぶ「庭先販売」が地元では人気ですが、小学校の給食でもそんな採れたての草加産野菜が使われているってご存知でしたか? おいしいのはもちろん、「食育」のうえでも地元の野菜は大いに活躍しているようです。今回、小学校の給食を通して、地元野菜の魅力をたっぷりお届けします!
子どもたちがおいしいと認めたのは“地元野菜”
「野菜の鮮度は分刻みで落ちていきます!」とおっしゃるのは、西町小学校で栄養教諭として活躍されている今井ゆかり先生。20年以上も前から給食に地元の野菜を取り入れることに力を入れ、小山小学校在籍中の2014年の2月には「小松菜カレー給食」を考案し、「第6回地産地消 学校給食メニューコンテスト」で「農林水産省 食料産業局長賞」を受賞されたことも。
西町小学校 栄養教諭 今井ゆかり先生 |
今井先生は地元の野菜を給食に取り入れることのメリットを次のように語ります。
「野菜は収穫した時点からどんどん鮮度が落ち、柔らかさや味などが変化してくるのです。直接農家さんに野菜をお願いすれば、流通ルートを通さず、収穫したての野菜を学校へ配達してもらえるので、新鮮でおいしい野菜が食べられることに。また、トマトや果物などは完熟してから収穫してもらうので、甘みや旨みが凝縮されています。実際に、子どもたちの反応を見ると、地元の野菜を給食に出すと残さずキレイに食べてくれます。子どもたちはとても正直で、おいしければ食べるし、口に合わなければ食べません。だから、給食は栄養価だけでなく『おいしい!』と喜んで食べてもらえるようにつくっています」
おいしいものを子どもたちに食べさせたい! そんな想いから今井先生は、自ら畑へ足を運ぶことも。
「野菜がどのように栽培されているのか、自分の目で確認するためもありますが、農家の方との交流も大事に考えています。こちらが求めている野菜を作ってもらったり、また野菜を加工してもらうことも。作り手と情報交換をすることで、新たなメニューづくりにつながるのです。賞を頂いた小松菜カレーも農家さんに小松菜をブレンダ―でペースト状にしてもらっています。滑らかなペースト状にすることで、口当たりがよく、甘味も増してくるのです。他にも栄養価の高い大根の葉をおいしく食べられるように、葉がやわらかな葉大根を給食用に栽培してもらっています。細かく刻み、じゃこと炒めたふりかけは、子どもたちの大好きメニューです。近くに協力してくださる農家さんがいるからこそできることです」(今井先生)
そんな野菜を給食に提供している農家さんのひとつ、西町の「チャヴィペルト」さんの畑で、今井先生が現在着任している西町小学校の2年生の児童が昨年から野菜の収穫体験を行っています。
「野菜が本来どんな姿をしているのか、農家の方がどれだけ大事に野菜を育てているのかなど、自分たちの目で見て、触れて……。食育を考えるうえで、子どもたちには、そんな“体験”が大切だと思います。このような経験によって、食べ物を大事にする、作る人に感謝の気持ちを持つなどの気持ちを心に刻み込んでくれればうれしいですね」
と今井先生。さっそく収穫体験を覗いてみましょう。
どきどきしながら小松菜に触れて ~西町小学校 野菜の収穫体験~
2年生の児童がひとクラスずつ、「チャヴィペルト」さんの畑を訪れ、小松菜の収穫にチャレンジしました。
「根本に近いところをつかんで、真っ直ぐ上に引っ張るんだよ」
オーナーの中山さんの話を熱心に聞き、いざ、小松菜に触れると、表情は真剣そのもの。なかには、なかなか抜けずに格闘している子も。小松菜が抜けるとみな、手にした野菜を誇らしそうに眺めていました。収穫を終えると、中山さんから野菜の栽培法についてお話を頂きました。
「小松菜のタネってどのくらいの大きさか知っている?」、「これは何をする機械かわかる?」、「苗にかけているビニールはなんのためかな?」
中山さんからの問いかけに、子どもたちは頭をフル回転。畑でじっくり栽培中の野菜を見たり、農機具を間近で見るのが初めての子もいたのではないでしょうか。中山さんのお話に興味津々の様子でした。最後にめずらしい赤と白のニンジンをお土産にもらうと、うれしそうに教室へと戻りました。収穫した小松菜は、翌日の給食に登場し、みんな「おいしい~!」と喜んで食べたようです。きっと自宅でも、家族と野菜の話で食卓に花を咲かせたことでしょう。
★「チャヴィペルト」さんについては、こちらでも詳しく紹介しています。
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地元の野菜をもっと給食へ! そして食卓にも地元産野菜を!!
草加市の学校給食は自校式です。各学校の学校栄養士の先生方が集まり、ベースのメニューを作成しますが、その後、各学校でアレンジし、食材の仕入れも単独で行われます。そのため、学校により給食に対する取り組みに差はでてきますが、草加市では現在、「地産地消」を進める動きがあります。できるだけ地元、または埼玉県内の野菜を食べようというものです。ちなみにどんな野菜が多く食べられているかというと、やはり小松菜がダントツ1位で枝豆、玉ねぎ、プチトマト……が後に続きます。最近ではしいたけも草加産が使われてきているとか。新鮮でおいしい、作り手の顔が見えて安心、そして作る側も消費者のニーズがわかるなど、「地産地消」には利点がたくさんありますが、さらに今回お話を頂いた今井先生は、「地元の野菜を食ベることは環境にも優しい」とおっしゃいます。フードマイレージという言葉がありますが、運送距離が短ければ資源の無駄使いもなく、また、CO2の削減にもつながるからです。
子どもたちが大人になったとき、生きるために自分でよりよい食材を選び、食べることでも自立ができるように、「食育」は大切なこと。そのためにまずは身近な地元の野菜にもっと目を向けてみてはいかがでしょうか。
地元野菜&給食に関しての最新情報
「学校給食展」 給食に関心を持って欲しいとの想いから始められた「学校給食展」。31回目を迎える今回のテーマは「生きる力を育む学校給食」。栄養や食べものについて楽しく学べ、これからの子どもの食事に役立つ情報がいっぱいです。給食の試食会や体験コーナーもあります。2015年1月24日(土)~1月26日(月)会場:谷塚文化センター
*試食会は1月24日(土)12時より(1回目は11時45分集合)
「草加ふささら枝豆倶楽部」 草加の枝豆について楽しみながら学べる倶楽部が誕生しました。会員限定で栽培体験を実施予定です。現在会員募集中(入会費、年会費無料)。登録するとイベントや様々な情報が受け取れます。
「学校給食の産地情報」 市では給食の食材の産地を公表しています。子どもたちがどのようなものを食べているのか、一度草加市のサイトを覗いてみてください。
草加の学校給食
取材日:11月4日、6日
作成者:はな