公開日:2021/12/01
作成者:えりひょん
草加といえば「せんべい」というのはすぐに出てくると思いますが、草加は皮革産業でも有名なのです。
草加市文化会館にある「伝統産業ぱりっせ展示室」ではせんべいと並んで皮革製品の展示などもあるのです。近年、コロナ禍で開催されていませんが、「レザーフェスタ」に行ったことがあるかたもいらっしゃると思います。
そんな草加の皮革産業との出会いから派生して、草加に拠点を持ち、レザークラフトアーティスト・ワークショップの講師として活躍されていおり、子育て応援隊でもある『キリングアート』さん開催のワークショップへ、息子2人と参加してきました!
気軽にできる本格レザークラフト
ワークショップブースに着くとまず目に入ってくるのが、レザーで出来た恐竜たちです。恐竜だけではなく、ドラゴンやサーベルタイガーもいます。これがすべて革で出来ているなんですごいな、と眺めている横で、小学校低学年男子たちはすっかり「レザー恐竜たち」に魅了されていました。キリングアートさんはそんな子どもたちに向かって優しく「どれを作りたい?」と声をかけてくれました。
たくさんの種類から選べるので子どもたちは目移りしてしまいます。それでも「これを作りたかったら、元になっているのはこの恐竜だよ」などと、しっかりと子どもたちとコミュニケーションを取りながら、選ぶのをゆっくり待ってくださいました。
無事選び終わるとさっそく実際のクラフト体験がはじまります。しかし、すぐにクラフト体験は始まりません。まずは子どもたちへのクイズから始まります。そのように子どもたちの興味を引く方法で、皮革とはなにか、私たちが肉を食するときには命をいただいているという事実を伝えていきます。ただクラフトを体験するだけでなく、その背景まで学べるのがキリングアートさんのワークショップならではだと感じました。
- 皮革の話が終わると、次はいよいよクラフト体験です。それぞれが選んだものを作る元となるのは平面の一枚のレザーです。これが本当に立体的な生き物になるのでしょうか?緊張しながらも、体験を進めていきます。革は湿らせると柔らかくなり形作れるようになり、乾くと固まるってご存じでしたか?(だから革製品のものは雨の日NGなんだと気が付きました)この性質を活かしたクラフト体験なんだそうです。大まかなステップは以下の4つです。
- 1.革を湿らせる
- 2.湿った革を成型する
- 3.乾かして固まらせる
- 4.革専用の道具を使用して染色
1.革を湿らせる
革を湿らせるにはスポンジようなものをつかって、トントンたたきます。湿らせすぎるとぐにゃぐにゃになり、成型しにくくなるそうで、その加減に気を使う作業のようでした。
2.湿った革を成型する
ちょうどいい具合に湿った革を恐竜や動物の形に折り曲げていく作業です。細かいところまでこだわって切り抜かれているため、成型する作業も細かいのです。つま先やしっぽ、きばなど小さい箇所もしっかり形作ります。なかなかここまで細かいところまでこだわったワークショップは他に類を見ないそうです。元となる革は、恐竜図鑑などで細部まで確かめ、コンピューターカッターを使用して手間暇かけて一枚一枚丁寧に切り抜かれているとのこと。子ども向けのワークショップでここまで準備をしっかり行うのは、子どもたちに出来上がったときの達成感を味わってもらいたいから、とキリングアートさんは語ります。
3.乾かして固まらせる
しっかり折ったり曲げたりした後は、ドライヤーを使って乾かし、固めます。ドライヤーはなんと拳銃型!こんなところまで子どもたちに楽しんでもらおう!という思いが表れていました。
4.革専用の道具を使用して染色
最後はいよいよ染色です。この染色まで体験できることもキリングアートさんの強いこだわりでした。「染色まで体験できるところって(ほとんど)ないんですよ。他のレザークラフト体験では色付けを行わないことが多いです」と語るキリングアートさん。色付けを行わないクラフト体験にて、出来上がったものを見た子どもが、これは犬じゃないと発言していたことに引っかかりを感じて、もっと完成度を高めるために染色まで体験してほしいと思ったことがきっかけだったようです。そのとき、染色まで体験してもらおうと気持ちを固めたそうです。
革専用の特殊な絵具で、二度塗りはできません。そのため、まずはマーカーで下絵を描きます。自分で書いた絵に、塗り絵のように色を付けていきます。まずは細かいところを塗り、最後に全体に色を付けていきます。
はみ出さないように塗るため、集中力が必要です。子どもたちは一言もしゃべらず、真剣に塗っていました。
すべて塗り終われば、乾かしていよいよ完成です!
完成後は、革に穴をあけ、金具を通し、キーチェーンやストラップ、ネックレスに出来ます。
今回はトンカチを使った穴あけも体験させていただきました。
レザークラフト体験に込める思い
子どもたちに皮革の魅力を伝えたい
元々はアパレル関係で働かれていたキリングアートさん。その中で皮革製品を取り使うことがあり、興味を持たれたそうです。もっと革について知りたい!と考え、草加の工房と出会われ、草加の皮革産業と触れる中で子ども向けのワークショップの存在を知り、自分も子どもたちに皮革の魅力を伝えたい!とご自身で主催されるようになったとのこと。
『日々の食事は命をいただいているということ、そしてそこから生まれる皮革。いただいている命に感謝を。』というストーリーをしっかり伝えてからクラフトを始めるこだわりも、皮革の真の魅力をしっかり伝えるためだと感じられました。
レザークラフトを通じて子どもたちの想像力を引き出したい
もっと子どもたちにわかりやすく教えられるようになりたいから、と、学童保育でのお仕事もされているそうです。日々、子どもたちと接するなかで学ぶものをレザークラフト体験ワークショップに還元し、ブラッシュアップを重ねられているんですね。その背景には、レザークラフトを体験することで「子どもたちの想像力を引き出したい」という思いがあるそうです。実は、キリングアートさんで扱っているモチーフに恐竜が多いことも、この考えからなのだとか。キリングアートさんは「恐竜は色が決まっていません」と話します。こんな色にしてみよう!と子どもたちが想像し、創意工夫できる余地があるんですと語られていました。単純に子どもたちが好きだから、かっこいいから、という理由だけではなかったんですね!
実際体験された保護者の方から「子どもがこんなに集中してやるなんて思わなかった!」「家でこんなに集中しているところをみたことがない!」と言われたこともあるそうです。今回体験させていただいた我が子も、集中して自分で考え、悩みながらどこにどんな模様を付けるか、何の色を塗るかを決めていました。レザークラフト体験を通じて、想像力が刺激され集中して作業に没頭していたのだと思います。
色塗りが楽しかった
体験終了後、子どもたちに感想を尋ねたところ二人とも「楽しかった!」と即答でした。特に楽しかったところは「色塗り」。キリングアートさんが熱い思いをもって導入したパートが大好評でした!願い通り、「何色にしようか、どんな模様にしようか」と考えることが楽しかったみたいです。キリングアートさんの信念がしっかり子どもたちにも伝わっていますね!
レザークラフト体験に興味を持った方はぜひイベントへ!
キリングアートさんのレザークラフト体験に参加されたい方は、ぜひイベントにご参加ください、とのことです。今後のイベント予定はこちらからご確認ください。また、人数が集まれば出張ワークショップも開催可能とのことでした。
ぜひ一度キリングアートさんへお問い合わせください!きっと子どもたちの想像力と創造力が引き出される貴重な時間になることと思います。
■■■主催者情報■■■
killing art (キリングアート) | |
場所 |
アトリエの所在地です(ワークショップ開催の場所ではありません) 340-0015 草加市高砂2-20-7 アオイエ 2F |
連絡先 |
080-4113-2838(代表:山本) |
開催日 |
不定期 |
料金 |
詳しくはお問い合わせください |
※この情報は掲載日時点での内容です。最新の情報をお確かめのうえお出かけください。
取材日:2021/11/28
取材・作成者:えりひょん